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Special Interview 木村文乃

好きな人にははっきり気持ちを伝える。そこは昔から変わっていません。

 大ヒット小説「イニシエーション・ラブ」が、ついに映画化。最後の2行で甘いラブストーリーから驚愕のミステリーへと変貌するトリックが話題となったが、その独創性から映像化は不可能と言われていた物語。一見、甘く切ないラブストーリーでありながら、ラストのどんでん返しまで目が離せない展開となっている。
 今回、注目が集まる豪華キャストの中でも、めまぐるしい活躍を見せる木村文乃さんにお話を伺った。木村さんは高校時代に乾くるみ氏の原作小説を読み、衝撃を受けたという。
「その衝撃は今でも覚えています。私は割と言われたままを信じてしまう人間なので、素敵なラブストーリーだなあと思いながら読んでいたんですけど、まんまとだまされましたね(笑)。まさか自分がその登場人物を演じられるなんて思っていなかったので、撮影がすごく楽しみでした」
 映画『イニシエーション・ラブ』の舞台は1980年代後半。大学生の鈴木と、歯科助手のマユのラブストーリーを軸に描かれる。しかし、社会人になった鈴木はやがて静岡から東京へと転勤が決まり、マユとは遠距離恋愛に。木村さんは、鈴木が転勤先で出会う洗練された東京の女性・美弥子を演じる。美弥子はその妖艶な魅力で鈴木に近づくのだが…。
「美弥子を演じる上で、純粋に役を考えて計算や小悪魔っぽさは意識していませんでしたが、完成した作品を見た人たちからは“美弥子はほんとに小悪魔だよね”って言われて。純粋に好きな人に振り向いてほしくて頑張ってたつもりなんだけど、なんでだろう? って不思議でした。美弥子はやっぱり“都会の女性”って感じですよね。ひとつひとつを重くしすぎないというか、何事も楽しかったらいいじゃない? それで結果的に同じ方向を向くことができたらいいね、っていう感覚の人です」
 美弥子が鈴木に思いを伝えるシーンは、鈴木役の松田翔太さんも「こんなふうに言われたら男は落ちる」と納得してしまうほど、美弥子の魅力が詰まっている。
「私は伝えることはきちんと伝えないと! って思っちゃう性格だから、美弥子のやり方できちんと思いが伝わるのかな? って心配してたんです。でも松田さんが“これは落ちる”と言っていたので、男の人ってそういうものなんだなって(笑)」
 木村さん自身と美弥子の恋愛観がリンクする部分はあったのだろうか?
「一緒にいる時間はせめて笑ってほしい、笑ってもらうために頑張るっていうところは美弥子に共感しました。でも恋愛観はあまり似ていないかもしれないですね。私は好きな人には好きってはっきり言う。そして、できれば付き合い始めの頃からもう2〜3年付き合ってるくらいの、落ち着いたテンションがいいです。
ラブラブだと疲れちゃう(笑)。恋は何となくざわざわするけど、愛は落ち着いていますよね。恋のざわざわはいらないので落ち着いたお付き合いでお願いします、みたいな。そのへんは昔から変わっていないですね」
 1980年代後半といえば、まだ携帯電話がなかった時代。それゆえのもどかしさなど、時代背景も楽しんでほしいポイントだという。
「当時の衣装やメイクはもちろん看板、車など、堤監督が細かいところまで徹底してこだわっているんです。当時流行していたものがたくさん出てくるので、その頃を知らない世代にとってはとても新鮮だし、知っている世代の人たちはノスタルジックな気分になれる映画だと思います。親子で見に行って、感想を語り合うのもいいですよね。ラブストーリーだけじゃなくて、そういった小ネタの部分も楽しめるところが堤監督ならではだと思いますし、最初から最後まで気が抜けません」
 “イニシエーション・ラブ”とは、恋愛に絶対はないことが分かる初めての恋。子どもから大人になる通過儀礼のこと。まさに誰もが経験する甘酸っぱい出来事だ。
「私にも忘れられない恋愛があって、自分でセリフを言いながら“つまりこれだったんだ”って思いました。結局すぐに忘れちゃうんですけど(笑)。女子だから切り替えは早いです。こういう恋愛は誰にでも経験があることだと思うので、純粋なラブストーリーとしても楽しめるし勉強にもなりますね。あとは、マユ役の前田敦子さんが同性の私でも抱きしめたくなるほどかわいいです。ラスト5分の展開には、大いにだまされてくださいね」
 本作以外にも映画、ドラマへの出演が続く木村さん。今後は声を使った仕事にも積極的に挑戦したいと語ってくれた。
「ナレーションなど声をあてる仕事は、その人の気持ちを代弁しているものだと思います。説明しきれない気持ちの部分を伝えるというか。その気持ちを汲み取って周りに伝えていくほうが思いが強くなるので、声の仕事がすごく好き。できればもっとやってみたいですね。一人の女性としては“あの人の生き方いいね”って言われる人生をおくりたい。外見はいずれ劣化してしまうのだから、中身を磨いて思いやりのある人になりたいです」


TEXT / Yukari Tanaka
PHOTO / Hirohiko Eguchi
STYLING / Kyoko Fujii (banana)
HAIR&MAKE / Makiko Nonaka (éclat)

衣装/ニット 37,000円 パンツ 29,000円(ミュラー オブ ヨシオクボ 03-3794-4037)
ピアス 125,000円(シェイスビー/シェイスビー伊勢丹新宿店 0120-62-4377)
重ね付けしたリング 各110,000円(共に、マクリ/マクリ伊勢丹新宿店 0120-62-4377)
バングル 280,000円(テンサウザンドシングス/テンサウザンドシングス伊勢丹新宿店 0120-62-4377)
パンプス(スタイリスト私物)

Profile
1987年10月19日、東京都生まれ。2005年、映画『アダン』のヒロインとしてデビュー。その後ドラマ、映画、CMなどを中心に幅広く活躍している。2014年1月、第38回エランドール賞新人賞を受賞。同年4月に蜷川幸雄演出の舞台「わたしを離さないで」で初舞台を踏む。放送中のTVドラマ「マザー・ゲーム~彼女たちの階級~」で連続ドラマ初主演。2015年は映画『十字架』、『ピース オブ ケイク』の公開を控える。


Vegas『イニシエーション・ラブ』
 監督/堤幸彦
 原作/乾くるみ著「 イニシエーション・ラブ」
 脚本/井上テテ
 出演/松田翔太、前田敦子、木村文乃 他
 公開/5月23日(土)全国東宝系ロードショー
 http://www.ilovetakkun.com/



(C)2015 乾くるみ/「イニシエーション・ラブ」製作委員会

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