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Pick up Interview 真矢ミキ

感じるものはそれぞれでも
必ず背中を押してくれるはず

 1975年にオフ・ブロードウェイで誕生し、たちまち話題となった『コーラスライン』。同年7月開幕のオン・ブロードウェイ公演はトニー賞で全9部門を制覇しただけでなく、ピュリッツァー賞など各賞を総なめ。さらに当時としては史上最長となる15年のロングランを記録したミュージカルの金字塔が7年ぶりに再来日公演される。今回、その世紀を超えて愛される作品の来日を記念して、オフィシャルサポーターとして選ばれたのが真矢ミキさんだ。
「私が初めてブロードウェイで観た演目がコーラスラインだったと思います。80年代だったかなぁ。私の中にものすごいディープインパクトを残した作品なので、今でもコーラスラインと聞くだけで胸が高まりますね」
 そう話始めてくれた真矢さん。当時真矢さんはまだ20代。とにかくオーディションに落ちまくっていて、ただただ劣等感に苛まれていたという。なんとかブロードウェイに辿り着いたはいいけれど、舞台に立つなんて夢の世界だと思っていたときに観たのが「コーラスライン」だったそう。
「この作品はコーラスダンサーを目指す17人が、最終オーディションで自分をさらけ出していくことで、夢見た舞台へ近づいて行くストーリー。人の見えないところでしてきた努力があって、大きな挫折があって、やっと一歩踏み出したと思ったら、また壁が立ちはだかって… という、現在と過去、そして未来をすべて目にできる作品。見終わったとき、夢を断念するには早過ぎるって思ったのを今でもハッキリと覚えています。今しようとしていることはできなくても、明日には別の仕事に就いてるかもしれないし、何がきっかけで新しい才能が開花するかわからない。まだまだ自分には可能性があるんだから諦めるには早過ぎる、まだ自分に劣等生の烙印を押すのは早いんじゃないかって思わせてくれたんです」
 どんな仕事にも置き換えられる。自分たちの生活とはまるで無関係に見えても、どこかリンクしてくるところが魅力だと真矢さんは続ける。
「会社でもなんでこんなに頑張ってるのに認めてもらえないんだろうとか、徹夜して作ったプレゼンなのに通らなかったとか、色々あるでしょう? みんな何かのために精一杯なのだけど、それが必ずしも報われるわけではなくて。なんでこんなに努力してるのにあの人ばっかり…なんて、人を羨んだり妬んだりしちゃう。人って頑張ってるときほど自分の前後しか見えなくなっちゃって、相当苦しい自分に直面すると思うんです。でもコーラスラインのダンサーたちの人生を一度に並べて観てみると、それぞれ背負ってるものがあって、みんな悩んでもがきながらも進んでいて。舞台を見終わるときには明日への活力になる何かがきっと胸に残っていると思います」
 最後に、真矢さんがいつもパワフルでキラキラ輝いていられる秘密を伺うと『感動を得るべき』と答えが返って来た。
「感動が人を突き動かす力は凄いですよ。悔しさもそうだけど、それは日々の生活にあると思うから、積極的に感動を求めて欲しいですね。それは舞台や映画を観たり何でもいいのだけど、できれば人の才能を見て感動して欲しい。私が最近感動したのは、知人の結婚式。そこで上司の方がされた祝辞があまりにもユーモラスで、参列者のみんなを巻き込んで笑顔にさせてたんです。自分の言葉で何を伝えたいかを一生懸命考えたんだなというのがわかるスピーチで、なんて素敵な上司なんだ、この結婚式最高! って感動しきりでした(笑)。才能ってすごい光だと思いませんか? 私は人の才能を見つけてはそれを日々の熱量に変えています。このコーラスラインも舞台はとってもシンプルなもの。コーラスラインが引いてあるだけで派手な装飾も衣装もないので、助けてもらうものがほぼない怖い舞台だと思います。だからこそ一人ひとりが持っている才能が発揮される舞台です。そこを見逃さず、明日へのパワーをもらって帰って欲しいですね」


TEXT / Satoko Nemoto
PHOTO / Isamu Ebisawa
STYLIST / Miho Ishino
HAIR&MAKE / Emiko Taira

Profile/1964年生まれ。元宝塚歌劇団花組男役。 1995年、「エデンの東」でトップに抜擢される。 以降、宝塚史上初である篠山紀信氏による男役の写真集や武道館コンサートを成功させるなど、 独自のアイデアや自由な発想で「宝塚の革命児」と話題になる。1998年10月、宝塚歌劇団を退団。1999年より女優としての活動をスタート。現在、朝の情報番組「ビビット」(TBS系/月~金 8:00~)のMCを担当。

Vegasブロードウェイミュージカル「コーラスライン」
 原案・オリジナル振付・演出/マイケル・ベネット
 演出・振付・再構成/バーヨーク・リー
 東京公演/8月15日(水)~26日(日)
 東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11階)
 東京凱旋公演/9月5日(水)~9日(日)
 東京国際フォーラム ホールC
 他、横浜・浜松・大阪公演あり
 公式サイト/http://www.ACL2018.jp




■Cover Interview 栗山千明